実を言うと、週刊文春には全然同情していない。この週刊誌は、少年法の趣旨に反して犯罪を犯した少年の実名を報道した前科があるからだ。もっともらしい理由をつけてみても、実名をのせれば売れると思わなければああいうことはしなかったのは明白であろう。

 で、今度は「表現の自由」と宣うわけである。

 表現の自由は、歴史的に見れば政府という権力をチェックするための武器であり、民主主義政体においてよりよい政治を実現するための不可欠の道具である。決して週刊誌の営業のためにあるものではない。事前規制に問題があるのはその通りであるが、その危険を冒してでもプライバシーを守らなければならないようにしたのは出版側に問題があったからだということにまだ気がつかないらしい。

 商業マスコミの力と報道される側の力では、圧倒的に前者の方が大きい。その不均衡を是正するために司法が介入するのはやむを得ない。これを「暴挙」というのなら、自らの利益に目が眩んで人権に対する感覚が鈍磨しているというそしりを免れまい。

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