英語の怖さ。
2004年2月5日 最所フミ・英語類義語活用辞典を読んでいる。
英語の例文が沢山出てきて、それでこの単語はどいう意味なのかがはっきりわかる仕組みになっている。しかし、その中でcoronor’s jury を「検死立会いの陪審官」としている部分があった。これは実は正しくない。
coronor というのは、coronor’s court において自然死ではない者の死因を検査する者のことを言う。普通、検屍官という訳をあてる。しかし、この死因の検査は、coronor一人ではなく、coronorが招集した陪審(jury =この言葉は総体としての陪審を指し、個々の陪審員はjurorと言う)が評決して行うこともある。これは、犯罪人を起訴するかどうかについて陪審にゆだねられることがある英米刑事法の制度の中で考えるとわかりやすい(この場合の陪審を、大陪審(grand jury)という。起訴陪審と訳すこともある)が、こういう役割を果たすのが、coronor’s jury なのである。従って、「検屍陪審」という訳ぐらいが正しい。
「検死立会いの陪審官」は、(1)実際の検死作業に立ち会っているかのような印象を与えるが、審問で証拠を評価して評決するのがjuryの役割である、(2)juryは個別の陪審員を指す言葉ではないので、「陪審官」という人間を想起させる訳語は望ましくない、(3)陪審は一般人の中から選ばれるので、「官」ではないという理由で適切ではないのである。
もちろん、この本が無価値だというつもりはない。むしろ勉強になることの方が多い。この件に関しては、たまたま自分に知識があったというにすぎないのである。しかし、たまたまこういうことが起きることがあるのだ。
英語は怖い。
付記:ということは、実は以前どこかで読んだことがある。自分の身にも起きるとは思わなかった。
英語の例文が沢山出てきて、それでこの単語はどいう意味なのかがはっきりわかる仕組みになっている。しかし、その中でcoronor’s jury を「検死立会いの陪審官」としている部分があった。これは実は正しくない。
coronor というのは、coronor’s court において自然死ではない者の死因を検査する者のことを言う。普通、検屍官という訳をあてる。しかし、この死因の検査は、coronor一人ではなく、coronorが招集した陪審(jury =この言葉は総体としての陪審を指し、個々の陪審員はjurorと言う)が評決して行うこともある。これは、犯罪人を起訴するかどうかについて陪審にゆだねられることがある英米刑事法の制度の中で考えるとわかりやすい(この場合の陪審を、大陪審(grand jury)という。起訴陪審と訳すこともある)が、こういう役割を果たすのが、coronor’s jury なのである。従って、「検屍陪審」という訳ぐらいが正しい。
「検死立会いの陪審官」は、(1)実際の検死作業に立ち会っているかのような印象を与えるが、審問で証拠を評価して評決するのがjuryの役割である、(2)juryは個別の陪審員を指す言葉ではないので、「陪審官」という人間を想起させる訳語は望ましくない、(3)陪審は一般人の中から選ばれるので、「官」ではないという理由で適切ではないのである。
もちろん、この本が無価値だというつもりはない。むしろ勉強になることの方が多い。この件に関しては、たまたま自分に知識があったというにすぎないのである。しかし、たまたまこういうことが起きることがあるのだ。
英語は怖い。
付記:ということは、実は以前どこかで読んだことがある。自分の身にも起きるとは思わなかった。
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